ジャポニスムハンドメイドシリーズ Vol.02　
バンブー

古くから道具や嗜好品の材料として重宝されてきた竹による眼鏡を、ジャポニスムではこれまでいくつもデザインしてきました。茶道の茶杓から得たというメガネフレームに竹を用いる着想は、当時世界初の試みでした。

竹は天然素材ゆえの装着感、掛け心地により、多くの素材を凌駕しています。当然、チタンやアルミ、マグネシウムなどより軽く、装着のストレス、ずれ落ちる問題などは軽減されています。装着するというテーマを避けて通れない眼鏡にとって、このことはとても大きな利点であり、また、アレルギーやアトピー、かぶれという症状もほとんど引き起こさないため、竹はそうした点からも、注目を浴びている素材です。

また経年変化の味わいを育てる面白さも竹の魅力のひとつでしょう。竹は革製品同様、使い込むほどに味わい深くなり、風合いが増していきます。古くより日本文化の中では、手擦れなどによる経年変化を価値として認めてきましたが、この侘び寂びの世界観が支える、”モノ”を使うことによって生まれる我々の美意識は、移り変わりゆくことを良しとする文化の中だからこそ、高い価値として認められるのではないでしょうか。

素材は京都産の竹にこだわり、それをさらに厳選して使用しています。堅固な竹が育つという京都の土壌には鉄分が多く、白熱電球を発明したトーマス・エジソンは、フィラメントの素材に頭を悩ませた際、世界中を探して京都の竹にたどり着いたといわれています。

製作する立場からみると、竹は職人泣かせの素材であり、ほとんどが手作業で行われる作業では、一日に一本のフレームさえも出来上がりません。機械では竹に細やかな細工ができないため、人の手で丹念に削り、磨き上げなくてはならず、わずか1本のフレームを仕上げるのにも、必要以上に時間がかかってしまうのです。

竹は乾燥が過ぎるときれいに割れなくなり、ヤスリのかけ方しだいでは、いきなり裂けてしまう扱いにくい素材。レーザーカッターの切断方や、曲げ加工の湿度調整まで含めたノウハウを確立するにはかなりの時間を要します。

また自然が作り出した物でありますので、形状や模様、色あいに同じものがあるわけではありません。従って量産品を作るには、出来るだけ同じ状態のものを見付け出し加工していかなければならず、職人に聞くところによれば、今まで無駄にした竹素材はダンプカー３台分にもなるといいます。

その他にも素材としての利点は様々あり、殺菌作用、水分を吸収しても吐き出す性質、伸縮しない（したがって定規の素材としても古くから使われている）点などが上げられます。天然素材の中でも木とも違い伸縮しないという事は、レンズを保持しなければならないメガネの素材という点において、眼鏡に適しているのではないでしょうか？

このように、モノとしての価値は高いものの、生産性に多くの難しさを抱える竹のフレーム作りには、職人の優れた技術と情熱に支えられており、手作業に頼る以上、希少品とならざるを得ません。当然一般的な量産フレームに比べて値段の張る商品となりますが、どれも職人の手による一点もの。そこに価値を見出していただけますと、このフレームを身につける喜びがさらに大きいものとなるでしょう。

ブランドコンセプトである機能性と実用性に、素材としての価値や美意識が詰まったバンブーコレクション。丁寧にさえ使って頂ければ、十分長い年月使用できる素材でもあります。ブランド名の通り、日本らしさを表現した他にはない価値あるフレームです。